金抽出は副業になる? 収益化の現実と始め方を解説

金抽出は副業になる? 収益化の現実と始め方を解説 意外な副業

近年、金価格が上昇している影響で、副業としての「金抽出」が注目されています。Youtubeを見てみると、再生回数が200~300万回を超える動画もあることから、「実は気になっている…」という人も多いのではないでしょうか?

しかし、ほとんどの人にとっては未経験の分野なため、まずはやり方・始め方を理解することが重要です。本記事では、「金抽出は本当に儲かる?」「どうやって始める?」などの疑問を解消しながら、金抽出の基礎知識をご紹介します。

金抽出はどれくらい儲かる? 本当に売れるのか?

結論からいうと、初心者が金抽出で大きく稼ぐことは難しい傾向にあります。ただし、大量の基盤を無料で入手するなど、工夫次第では副業として成立するかもしれません。

以下では、ジャンク品のパソコン基板を購入し、金抽出をした場合の収支をシミュレーションしました。

収支の内訳金額
基盤の購入費用(中古のマザーボード10枚)1,500円
薬品類の購入費用1,000円
電気代200円
抽出できた金の価値(0.5g相当)8,706円
合計収支6,006円
※ガスバーナーなど、作業に必要な機材の購入費は含めていません。
※電気代などのコストは、あくまで目安となります。
※金の価値については、2025年8月5日時点の1gあたりの価格(1万7,412円)で計算しています。

10時間で金抽出の作業が完了すれば、時給は約500円になる計算です。ただし、実際の作業で失敗したり、機材類の買い替えが必要になったりする可能性もあるため、上記の収支を実現できるとは限りません。

金抽出の副業で稼ぐには、ノウハウを確立して作業を効率化したり、作業を動画化して配信したりなどの工夫が必要になります。

抽出した金の売り方

抽出した金の売り方
①貴金属買取店
②フリマアプリ・オークション
③スクラップ買取業者

抽出した金を高く売るには、精錬作業によって純度を高める必要があります。精錬作業をするほど金の塊は小さくなりますが、不純物が混ざっていて見た目が汚れている金は、基本的に売却できません。

精錬作業に自信がない方は、専門業者への依頼を検討してみましょう。たとえば、貴金属回収精製リサイクルを行っている井島貴金属精錬株式会社は、1gあたり65円で金の精錬作業を受け付けています。

参考:井島貴金属精錬株式会社「★井島貴金属精錬株式会社の貴金属回収精製リサイクル:貴金属 精錬分析 ・貴金属リサイクル加工・純金・純銀インゴット加工・歯科用・工業用・宝飾用貴金属リサイクル 井島貴金属精錬株式会社の貴金属リサイクル 精錬 分析 : 回収・精製リサイクル・純金・純銀インゴット加工事業

また、金の精錬後には売却先を選ぶことも重要です。売却先には以下の選択肢があり、それぞれメリットやデメリットが異なります。

金の売却先メリットデメリット
貴金属買取店・専門家の意見を聞ける
・その場で売却できる
・相場に近い価格で売却できる
・純度の証明が求められる
・状態が良くないと売却できない
・未精製の場合は原則売却不可
フリマアプリ
ネットオークション
・少量でも出品できる
・売却価格を自分で決められる
・低純度でも売却できる可能性がある
・確実に売れるとは限らない
・購入者とのトラブルに注意
・発送や質問対応などの手間がかかる
スクラップ買取業者・未精製でも買い取ってもらえる
・スクラップの大量処分にも向いている
・高く売却することは難しい
・スクラップとしての売却になる

金を高く売却したい場合は、貴金属買取店やフリマアプリ、ネットオークションが主な選択肢になります。

基盤から金抽出をする方法

副業として金抽出を始めるには、以下の流れで作業を進めます。

金抽出をする流れ
  • 手順1.道具と基盤を準備する
  • 手順2.金部分を切りだす
  • 手順3.混合液で基盤を剥がす
  • 手順4.銅などの不純物を除去する
  • 手順5.ガスバーナーで金を溶解する
  • 手順6.金がまとまったら冷却する

ここからは各手順に分けて、実際のプロセスや注意点などをご紹介します。

手順1.道具と基盤を準備する

自宅で金抽出を始めるには、以下の道具をそろえる必要があります。

必要な道具用途価格の目安
ニッパー・ペンチ基盤の切り出し500~1,500円
耐酸性の容器(ビーカーなど)薬品の取り扱い1,000~2,000円
ガラス棒薬品と金属を混ぜる300~800円
ゴム手袋薬品から肌を守る500~1,000円
トイレ用洗剤(ナイスやサンポールなど)不純物の溶解250~300円
過酸化水素水(オキシドール)不純物の溶解200~400円
ろ紙・ろう斗金属片のろ過300~800円
ガスバーナー金の溶解2,000~5,000円
るつぼ(溶解皿)加熱時に金を乗せる1,500~3,000円
ホウ砂融点を下げつつ、金をまとめやすくする800~1,500円
※上記は、金抽出に最低限必要な道具の一覧です。安全に行うためには、保護メガネや防毒マスクなどの装着が望ましい可能性があります。
※金額はあくまで目安で、購入する店舗や時期によって異なります。

すべての道具をそろえると、1万円弱~2万円ほどの費用がかかります。作業の度にかかる消耗品もあるため、収支のシミュレーションは慎重に行いましょう。

道具をそろえたら、金が使用されている基盤を調達します。基盤にもさまざまな選択肢があるので、安く大量に仕入れできるものを独自に分析しましょう。

基盤の種類抽出できる金の量(1枚あたりの目安)
PCのマザーボード0.2~0.5g
ノートPCの基盤0.1~0.3g
グラフィックボード0.1~0.3g
メモリ0.05~0.1g
CPU(セラミック製)0.2~1.0g
携帯電話の基盤0.05~0.15g
小型のゲームカセット0.01~0.03g
中型以上のゲームカセット0.03~0.1g
※含有量はあくまで目安で、品質や作業手順などにより、実際の抽出量は異なる場合があります。

ジャンク品の店舗を周ったり、ネットオークションなどを確認したりしながら、費用対効果が高い基盤を探してみてください。 

手順2.金部分を切りだす

基盤に金が使われているのは、端子や接点などの一部です。余計な部位が含まれると溶解に時間がかかるため、ニッパーやペンチで金部分を切りだしましょう。

金を切りだすイメージ

端子部分が小さい基盤(スマートフォンや小型ゲームカセットなど)は、重ねてまとめて処理する方法が効率的です。なお、部品が飛んでケガをする可能性もあるので、できればゴム手袋や保護メガネを着用してください。

手順3.混合液で基盤を剥がす

次は、基盤と金部分をつなげている銅を溶かすために、切りだした部位を混合液に浸けます。耐酸性のビーカーなどを用意し、トイレ用洗剤(塩酸)とオキシドール(過酸化水素水)を3:1くらいの割合で混ぜましょう(※①)。

金部分を混合液に1日~2日ほど浸けると、基盤が取れやすくなっていることを確認できます。剥がした基盤にも金が残っているため、プラスチック製のヘラやピンセット(※②)を使って、細かい金粉も採取してください。

※①オキシドールは、塩酸の働きを補助するために使用します。銅の溶け方が遅い場合は、塩酸の割合を少しずつ増やしましょう。

※②金属製の道具を使うと、塩酸の働きで溶けてしまうので注意してください。

手順4.銅などの不純物を除去する

この段階では銅などの不純物がまだ多いため、混合液にもう一度浸けておきます。1日ほど浸けたら、ろ紙・ろう斗を使って液体を濾し、金の粉やフレークを取りだします。ろ紙については、コーヒーフィルターでも代用可能です。

見た目が金粉に近づいたら、不純物や酸を水で洗い流しましょう。

手順5.ガスバーナーで金を溶解する

次は、ホウ砂でコーティングした溶解皿に金を入れて、ガスバーナーで溶解していきます。金の融点である1,064℃まで温度を上げるために、溶解皿にはフタをして炉の状態を作りましょう。

金を溶解する方法

溶解皿自体も高温になるため、耐熱性が高いハニカムブロックなどの上に置き、周りにも注意を払うことが重要です。

手順6.金がまとまったら冷却する

溶解作業がうまく進むと、金粉がまとまって塊になります。丸い塊になったら放置して冷却し、塩酸(トイレ用洗剤)にもう一度浸けましょう。

見た目もきれいな金塊になったら、抽出作業は完了です。

金抽出は副業になる? 儲けを増やすポイント

コスト面も含めて現実的に考えると、金抽出は効率的な副業とはいえません。ただし、やり方や売却方法を工夫することで、時間あたりの収支を増やせる可能性があります。

ここからは、金抽出の儲けを増やす4つのポイントを解説します。

大量の基盤を安く手に入れる

金抽出にかかるコストの中でも、負担が大きいものは基盤の調達費用です。大量の基盤を安く手に入れることができれば、労力に見合うリターンを得られるかもしれません。

以下では、基盤を安く手に入れるアイデアをまとめました。

基盤を安く手に入れるアイデア
  • ジャンクPCや基盤セットをまとめて購入する
  • リサイクルショップでジャンク品をまとめ買いする
  • 友人や家族に声をかけてみる
  • 地元の工場や解体業者などに相談をしてみる

複数の方法を試しながら、継続的に基盤を仕入れるルートを見つけましょう。

金の価値が上がるまで待つ

金は酸化しにくい金属なので、価値が上がるまで待つ選択肢もあります。参考として、以下の図では1975年からの価格推移をまとめました。

※各年の金額は、田中貴金属工業株式会社の参考小売価格(税抜)。

参考:田中貴金属工業株式会社「年次金価格推移

2015年頃と比べると、2025年現在の金価格は2倍以上です。このまま上昇が続く確証はありませんが、しばらくの間は抽出作業のみに集中し、数年後になってから売却を検討すると、副業としての効率が上がるかもしれません。

ただし、かえって価値が下落する可能性もあるので、売却のタイミングは慎重に判断してください。

価値のある部品はそのまま売却する

パソコンなどの電子基板には、それ自体に価値があるものも存在します。

たとえば、Intel製CPUのうち「core i5以上」の中古品には、数千円以上で取引されるものがあります。このような部品は、金ではなくパーツ自体に価値があるため、そのまま売却することで多くの利益を上げられるかもしれません。

数千円以上の値がつくこともあるパーツ例
  • セラミックCPU(旧型Intel/AMDなど)
  • メモリモジュール
  • グラフィックボード(最新のゲームを動かせるもの)
  • 希少性が高いゲームカセット
  • レトロなICチップ(ROMなど)

中古品・ジャンク品の価値に詳しくなれば、金抽出をしながら高額な部品を見極められます。余裕がある方はあらかじめ情報収集をして、「金抽出」と「中古品売買」の副業を両立してみましょう。

動画化や記事化で収入源を増やす

あなたが本記事を見ているように、金抽出のコンテンツには一定の需要があります。そのため、金抽出の作業風景を動画化・記事化すれば、広告やアフィリエイトによって収益を得られるかもしれません。

たとえば、Youtubeにアップロードされている金抽出動画には、200万回以上再生されているものがあります(※2025年8月6日時点)。ここまでの再生回数は難しくても、ある程度の広告収入やアフィリエイト収入があれば、十分に副業として成立するでしょう。

参考になる金抽出Youtuber

金抽出の作業はやや長いため、実際の動画でイメージをつかむことも重要です。また、人気の動画コンテンツをチェックすれば、動画作りのヒントを得られる可能性もあるでしょう。

ここからは、金抽出で参考にしたいYouTuberをご紹介します。

1.やさぐれメタルさん

やさぐれメタルさんは、パソコンやゲームの基盤から金抽出をしているYouTuberです。金のほか、銀やプラチナの抽出にも挑戦しており、動画内では作業手順や売却相場、収支のシミュレーションなどが紹介されています。

チャンネル名やさぐれメタル
登録者数29.5万人
動画本数389本
総再生回数8,955万626 回
チャンネル やさぐれメタル – YouTube
※登録者数などは、2025年8月6日時点のデータ。

2025年7月には、1,000万円分の純金インゴットを製造した動画が公開されました。作業手順も非常に分かりやすいので、金抽出を始める方はぜひ参考にしてみてください。

※出典:1000万円分の純金インゴットをヤフオクのジャンク品から取り出した金で作ってみた – YouTube

2.れあめたる委員会さん

れあめたる委員会さんも、金・銀・プラチナの動画を多く発信しているYouTuberです。川や岩盤での砂金堀りを中心に、さまざまな鉱物をテーマにした動画が公開されています。

チャンネル名れあめたる委員会
登録者数1.45万人
動画本数764本
総再生回数1,933万1,177 回
チャンネルれあめたる委員会 – YouTube
※登録者数などは、2025年8月6日時点のデータ。

2025年8月時点で最も再生数が多いのは、砂金を溶解して金の塊にする動画です。実際の相場を想定した売却シミュレーションも行っているので、収支をイメージしたい方はぜひ参考にしましょう。

※出典:砂金を塊にして売ったらいくら? – YouTube

収支をシミュレーションしてから計画を立てよう

基本的に金抽出は、初心者がいきなり稼げる副業ではありません。ただし、正しい知識と工夫次第では、安定した副収入を得られる可能性もあります。

特に重要なポイントは、収支をきちんとシミュレーションすることです。基盤の仕入れ方や、1作業あたりの抽出量で収支は変わってくるため、入念な計画を立てることから始めましょう。

※本記事は副業の情報発信を目的にしており、収支を保証するものではありません。