生成AIの登場により、ライティング業界やデザイン業界が揺れている。フリーランス界隈のSNSなどを見ると、「数年続いた依頼がストップした」「掲載案件が減っている」などの悲観的な声が目立つようになった。
フリーランスや副業人材にとって、掲載案件の減少は死活問題になる。実際にクラウドソーシングの案件数は、どれくらい減っているのだろうか。
明確なデータのあるページが見当たらないため、本サイトでは副業として選ばれやすい「ライティング業界」「デザイン業界」「映像業界」の案件数を毎月リサーチしていく。
【ライティング業界】最大手で約6万件、AI関連が増加
手軽な副業として選ばれやすいライティング業界では、かつて月10万件以上の案件が掲載されていた。AIの登場で企業の内製化(外注の減少)が進む中、大手クラウドソーシングではどれくらい案件が掲載されているだろうか。
サービス名 | 掲載案件数(ライティング) | 内訳(案件数TOP3のみ) |
クラウドワークス | 5万9,222件 | 記事・Webコンテンツ作成:2万1,795件 シナリオ作成・脚本制作・小説作成:9,836件 レビュー・口コミ:6,686件 |
ランサーズ | 490件 | ライティング:464件 編集・校正:260件 小説・シナリオ・出版物:13件 |
シュフティ | 2,148件 | 記事・ブログ作成:1,475件 クチコミ・レビュー・体験談:367件 その他ライティング:276件 |
※2025年7月9日時点。掲載案件数の内訳は重複あり。
最も案件数が多いクラウドワークスでも、掲載案件数は約6万件に留まった。全盛期に比べると初心者~中級ライター向けの案件が減る一方で、AIを活用するプロジェクト(AIライティングやその校正など)は増加傾向にある。
【デザイン業界】常時3万件以上、実績を求めるプロジェクトが中心
ロゴやイラストなどのデザイン分野でも、AIを活用した内製化は進んでいる。ライティングと同じく、かつては初心者を対象にした案件が多く見られたが、クラウドソーシングの掲載案件に変化はあるのだろうか。
サービス名 | 掲載案件数(ライティング) | 内訳(案件数TOP3のみ) |
クラウドワークス | 2万5,995件 | ロゴ・バナー・イラスト:1万6,379件 印刷物・DTPデザイン:4,827件 その他(デザイン):2,625件 |
ランサーズ | 555件 | ロゴ・イラスト・キャラクター:476件 印刷物・DTP・その他:436件 看板・地図・インフォグラフィック:395件 |
シュフティ | 762件 | 写真撮影・写真編集・画像加工:432件 動画撮影・動画編集・動画加工:172件 その他デザイン・写真・動画:84件 |
※2025年7月9日時点。掲載案件数の内訳は重複あり。シュフティの掲載案件数には「写真・動画」を含む。
上記以外のサービスを含めると、少なくとも常時3万件以上は掲載されている様子がうかがえる。ただし、全体としては実績を求めるプロジェクトが多いため、初心者向けの案件は減少傾向にあるかもしれない。
【映像業界】最大手で約7万件、うち半数以上はYouTube案件
YouTubeをはじめとした動画プラットフォームの人気により、2010年代後半からは映像制作に関わる案件数が急増した。簡単な業務(字幕生成など)は生成AIでも行えるようになったが、2025年7月現在でも掲載案件数は多いのだろうか。
サービス名 | 掲載案件数(ライティング) | 内訳(案件数TOP3のみ) |
クラウドワークス | 7万2,960件 | YouTube動画作成・編集:4万3,614件 動画作成・動画制作:1万2,482件 映像撮影:4,760件 |
ランサーズ | 313件 | 動画編集・映像制作:168件 写真撮影・素材提供・画像加工:111件 BGM・SE・ジングル作成:54件 |
シュフティ | 762件 | 動画撮影・動画編集・動画加工:172件 その他デザイン・写真・動画:84件 |
※2025年7月9日時点。掲載案件数の内訳は重複あり。ランサーズの掲載案件数には「写真撮影・ナレーション」、シュフティの掲載案件数には「デザイン・写真」を含む。
分野別では「YouTube動画作成・編集」が最も多く、そのほとんどがクラウドワークスに集中している結果となった。単純作業のテロップ入れやカット割りのほか、編集作業全般を任せるような案件も多い。
今後もリサーチを続けないと分からないが、動画関連の外注ニーズはしばらく安定することが予想される。
定期的なリサーチで市場の変化を読み取ろう
安定した副業を探す上で、クラウドソーシングは貴重な選択肢になる。しかし、掲載案件数が減ると競争率は上がり、経験者や実績のあるフリーランスが有利になるため、市場の変化はきちんと把握することが重要だ。
引き続き、本サイトではクラウドソーシングの案件傾向を毎月リサーチしていく。
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